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移転

移転しました。今後とも、天使のワインセラーをよろしくお願いいたします。

移転先URL

http://plaza.rakuten.co.jp/winekiko/
# by henrri | 2006-10-05 19:07

ワインセミナー後期第一回

夏の間お休みいただいていたワインセミナー。
後期第一回が開催されました。ワインセミナー後期第一回_e0090389_13131420.jpg

福島市のグラスワインのお店「ユアーズ」にて開催。
後期は、葡萄品種別に飲み比べながらワインを学んでいこう
というコンセプトです。
第一回は、「カベルネ・ソーヴィニヨン」代表的な赤ワインの品種です。
特にボルドーのメドック地区のものが有名。
タンニンが多く、長期熟成のフルボディータイプのワインが出来ます。
ワインセミナー後期第一回_e0090389_165481.jpg


右から
1 : バロン・ド・ロートシルド ボルドー・レセルヴ・ルージュ(フランス)
2 : カッシェロ・デル・ディアブロ カベルネ・ソーヴィニヨン(チリ)
3 : シェラ・ヴァレーカベルネ・ソーヴィニヨン(カリフォルニア)

番外編
4 : シャトー・メルシャン 甲州きいろ香

3種類の国別カベルネ対決となりました。

1 : 2000円以下でこんな本格的ボルドーワインが飲めるんだ!
    と言うことにまず驚かされました。しっかりとしたボディー。
    カシスの深いアロマ、程よいタンニンとバランスの良さが
    群を抜いていました。

2 : お気に入りのデイリーワイン。
    濃密な樽香が、魅惑的な飽きの来ないワインです。

3 : アタックがまず華やか。
    ロリーポップやフルーツケーキのようなカラフルな甘さが
    にぎやかなパーティーを連想させます。乾杯ワインにピッタリ!


そして番外編の白ワインは
ソムリエ鈴木のセレクトには珍しい日本のワイン。
あまり期待せずに飲んでみると、大吟醸のようなさっぱりした味わいで
時間を置いてからの劇的な香りの変化がすばらしい!!
「甲州きいろ香」というネーミングと日本的なうつろう香りが
竹久夢二の描く女性を連想させました。

ワインセミナーセット【カベルネ・ソーヴィニヨン】+甲州きいろ香


ワインセミナー後期第一回_e0090389_17363868.jpg

写真は、「ワインの若き熱血伝道師」、ユアーズの古川君作。
素敵なマリアージュでした。

次回はシャルドネ。
# by henrri | 2006-09-27 18:01

オレステスを観た

オレステスを観た_e0090389_1154140.jpg

エウリピデスによる2千年前の戯曲である。
「オレステス」は、事後の顛末を描いたような戯曲で、400年前のシェイクスピアによる「ハムレット」が、藤原竜也によって現代にもたらされた2003年の「ハムレット」ほどのカタルシスは、さすがになかった。

原始的な演劇に登場する人物の感情は、野太くストレートで
その怒りや悲しみを、鉛のように、重く舞台に降りしきる雨が打ち続け、会場全体を揺るがすように鳴るティンパニーが、力強く鼓舞する。
役者たちの演技は、おしなべてプリミティヴな太い線で大胆に描かれ
終始一定のテンションを保ちながら、荒々しく進行する印象。
藤原がハムレットで見せた、強弱、間断のリズムを駆使して
手繰っては寄せ、寄せては突き放すような繊細さは見られない。
現代に生きる若者たちが、演劇の原点を模索する姿に
演出家、蜷川幸雄の意図を見たような気がする。
自分の血肉を切り分けて、次の世代に伝えたい物
残さねばならない物としての「オレステス」。
ともすれば、観客が置いていかれそうになる驚愕のラストも
そう理解すれば出来ないことはない演出かもしれない。

その夜、これしかない!と確信して飲んだワイン。
ゼウスとイオの物語を思い起こさせる、思議な絵のエチケットだ。

マストロベラルディーノ・ヒストリア
# by henrri | 2006-09-16 12:04 | 演劇

六月は真紅の薔薇

あっという間の5月だった。
爽やかな新緑の風を謳歌する間もなく、走り梅雨のような空模様だが
雨に濡れた新緑がさらに鮮やかに、美しさを増す季節でもある。

六月は真紅の薔薇_e0090389_17385396.jpg


つい一週間ばかり前には、まだ固い蕾だった裏庭の薔薇が色づき
幾重にも重なった花弁の間に雨粒を含み、重たげに首を垂れて
雲の合間の陽光に輝いている。

今日は沖田総司の命日である。
庭の薔薇が一つ咲き二つ咲きして、毎年彼の命日を思い出させてくれる。
六月は真紅の薔薇_e0090389_17392761.jpg


慶応4年5月30日、江戸千駄ヶ谷にて
幕末の仇花といわれた新選組一番組長沖田総司は
近藤勇の死を知らされないまま
最後まで近藤の身を案じながら息を引き取ったという。
享年27歳。
# by henrri | 2006-05-30 17:43

プラド美術館展を見た

美術館に行っていつも思うのは、半日ぐらいじっくり時間をかけて
絵だけではなく、その空間も思う存分楽しみたい・・・ということだ。
まだまだそんな贅沢は許されないけれど
その日はどしゃ降りの悪天候に加え
ほぼ開館と同時に入場できたこともあって
去年のドイツ展のような、人垣の隙間からかろうじてのぞき見るといった
悲惨なめには会わずに済んだ。

美術館には静寂を ―――  これが美術鑑賞の最低の条件だろう。

17、18世紀の、威風堂々としたスペイン絵画は
驚異的な光と影のせめぎ合いが造り出す魔術である。

プラド美術館展を見た_e0090389_2324649.jpg

                             スルバラン「ボデゴン」

食器や食材を描いたボデゴンと呼ばれる絵がある。
闇の中に、ある意図を持って配置され浮かび上がった静物は
あまりに忠実なゆえに、禁欲的かつ官能的である。

プラド美術館展を見た_e0090389_23274043.jpg

      サンチェス・コタン「狩猟の獲物、野菜、果物のあるボデゴン」

室内で描かれた絵が、自然界の法則に実に従順であるにもかかわらず
現代人の目に非現実的に映るのは
ろうそくの明かりのみを頼りに描いているからだろう。
現代人にとって、こうした漆黒の闇は未体験の空間であり
光と闇の果てにある静寂は憧れでもあるのだ。
# by henrri | 2006-05-07 23:47