チャイナドレスの女

チャイナドレスのマギーチャンがことのほか美しい。
立ち上がった、丈の高い襟に隠れたうなじの
柔らかく並んだひとつひとつの窪みが、透けて見えるようだ。
見る人が見たいと思う目線で映像が流れていく。
川のように澱んだり、渦巻いたりちょっと止まったり
行く末もわからずまた静かに流れたりしながら
大人の恋の断片を追った作品が、ウォンカーワイの「花様年華」
いわゆる不倫ものだけど、ラブシーンは全く出てこない。
タクシーの中で、触れるか触れないかぐらいの距離で
二人の指と指が交差する。
それだけで、タクシーの中の濃密な空気と
わずかに触れ合った指のひりひりした感触が伝わってくる。
彼らは肉の繋がりは無いのに、とても近所の目を気にしている。
彼らがこんなに罪悪感を感じているのは
気持ちの問題ではなくて
たぶん彼らが、何度も何度もいっしょに食事をしているからではないかな?
肉の旨みを知り尽くした二人が食事をするシーンはエロティックだ。
音を立てて咀嚼し、すすり、箸で弄びながら食べたりする。
唯一動物的な食事のシーン以外は
マギーチャンの美しい肢体を
チャイナドレスが覆うように包み隠しているけれど
映像は、不意に内臓のような生々しさを露呈する。
ある種チラリズムがこの映画の魅力?・・・だったりして・・・
そもそもチャイナドレスは、なだらかな曲線だけでなく
女性の骨格や肉付きを露にする
男にとっては最高の服飾文化なのだから。
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by henrri | 2005-11-10 11:05 | 映画・ドラマ
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