銀板のジャンヌ・ダルク

最後の最後まで白熱した展開を見せた
女子フィギュアスケートオリンピック代表がようやく決まった。
トリノへの切符を手にしたのは安藤美姫、村主章枝、荒川静香の3選手。
昨日の全日本フィギュアスケート選手権ほどレベルの高い大会は
オリンピックも含めた様々な国際大会でも
かつてなかったのではないだろうか。
代表枠を争った上位6選手のほとんどが
パーフェクトに近い、気迫のこもった素晴らしい演技を見せてくれた。
選手達が次々に難度の高いジャンプを決める度に
会場に湧き上がる感動と興奮が
TV画面を通しても、あますところなく伝わってきた。
彼女達は本当に美しかった。
結果として選考に漏れてしまった選手の演技は
トップスリーの選手と比べなんら遜色はなく、むしろ
追う者の気迫がひりひりと伝わってくるような素晴らしい演技だった。

中でも印象的だったのが、僅差で代表枠を逃した恩田美栄選手。
最後のアドバイスを受けてコーチの元を離れ
それまでの迷いから解き放たれるように
力強くリンクに向かった彼女の演技が光っていた。
決意の色が宿った瞳の輝きが、一瞬にして会場を制圧した。
眠っていた底知れない力が眠りから醒め、外に溢れ出すかのような
迷いのない演技からは、誰も失敗することなど想像だにしなかった。
それまで、彼女の中に澱のように蓄積してきた辛さ、苦しさ、悔しさ
といった負のエネルギーが
アスリートとしての彼女の闘志に火をつけたかのような瞬間だった。
彼女の演技は、まだフィギュアスケートの奥深さも、試合の怖さも知らない
若い選手の伸びやかな演技とは全く違っていた。
これまでの戦いで受けてきた、幾多の傷を刻みながら
それでもなお戦うことを止めずに前へ進む彼女の姿は
ジャンヌ・ダルクのように強く美しかった。
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by henrri | 2005-12-26 02:32
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