美術館に行っていつも思うのは、半日ぐらいじっくり時間をかけて
絵だけではなく、その空間も思う存分楽しみたい・・・ということだ。 まだまだそんな贅沢は許されないけれど その日はどしゃ降りの悪天候に加え ほぼ開館と同時に入場できたこともあって 去年のドイツ展のような、人垣の隙間からかろうじてのぞき見るといった 悲惨なめには会わずに済んだ。 美術館には静寂を ――― これが美術鑑賞の最低の条件だろう。 17、18世紀の、威風堂々としたスペイン絵画は 驚異的な光と影のせめぎ合いが造り出す魔術である。 スルバラン「ボデゴン」 食器や食材を描いたボデゴンと呼ばれる絵がある。 闇の中に、ある意図を持って配置され浮かび上がった静物は あまりに忠実なゆえに、禁欲的かつ官能的である。 サンチェス・コタン「狩猟の獲物、野菜、果物のあるボデゴン」 室内で描かれた絵が、自然界の法則に実に従順であるにもかかわらず 現代人の目に非現実的に映るのは ろうそくの明かりのみを頼りに描いているからだろう。 現代人にとって、こうした漆黒の闇は未体験の空間であり 光と闇の果てにある静寂は憧れでもあるのだ。
by henrri
| 2006-05-07 23:47
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