エウリピデスによる2千年前の戯曲である。 「オレステス」は、事後の顛末を描いたような戯曲で、400年前のシェイクスピアによる「ハムレット」が、藤原竜也によって現代にもたらされた2003年の「ハムレット」ほどのカタルシスは、さすがになかった。 原始的な演劇に登場する人物の感情は、野太くストレートで その怒りや悲しみを、鉛のように、重く舞台に降りしきる雨が打ち続け、会場全体を揺るがすように鳴るティンパニーが、力強く鼓舞する。 役者たちの演技は、おしなべてプリミティヴな太い線で大胆に描かれ 終始一定のテンションを保ちながら、荒々しく進行する印象。 藤原がハムレットで見せた、強弱、間断のリズムを駆使して 手繰っては寄せ、寄せては突き放すような繊細さは見られない。 現代に生きる若者たちが、演劇の原点を模索する姿に 演出家、蜷川幸雄の意図を見たような気がする。 自分の血肉を切り分けて、次の世代に伝えたい物 残さねばならない物としての「オレステス」。 ともすれば、観客が置いていかれそうになる驚愕のラストも そう理解すれば出来ないことはない演出かもしれない。 その夜、これしかない!と確信して飲んだワイン。 ゼウスとイオの物語を思い起こさせる、思議な絵のエチケットだ。 マストロベラルディーノ・ヒストリア
by henrri
| 2006-09-16 12:04
| 演劇
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