2005年 12月 23日 ( 1 )

春の雪をみた。

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原作を読んでしまってからの鑑賞はちょっと辛かった。
自分の膨らんだイメージから少しでも外れるとしらけてしまうから。
特に三島作品は難しいと思う。
並みの作家の本なら、場合によっては
二次元の世界を三次元に立ち上げてくれる映像のほうが
はるかに受け入れ易かったりもするけど
三島に限って言えば、その絢爛たる言葉の金糸を縦に横に
繊細に、綿密に織り上げる世界のほうが、はるかに説得力がある。
三島の言葉で紡ぎだされる清顕より美しく儚い清顕はいない。
清顕と聡子の悲恋に涙するのではなく
清顕の存在そのものが慟哭するほどに美しいのだ。
本来なら清顕は、人知の及ばない
壮大な時の流れを支配するものによって選ばれた、特別な人間故に
特別な役者にしか演じることを許されない役なのだと思う。
しかし、豊饒の海全編を貫く
60余年という時のうねりの本流にある
輪廻転生が描かれないのであれば
清顕の存在は何の意味も持たないことになってしまう。
他に方法はなかったんだろうか?

原作とは関わりなく、アイドル映画としてみれば
そこそこの秀作かもしれないけど・・・。
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by henrri | 2005-12-23 00:55 | 映画・ドラマ