2006年 02月 11日 ( 1 )

THE 有頂天ホテルを見た

三谷幸喜作、監督のTHE 有頂天ホテル。
見ているこっちが有頂天になりそうな豪華キャストである。

群像劇は彼の得意とするところだが、これだけのキャストを
惜しげもなく次々に登場させ、ストーリーにちょっと絡ませたかと思えば
贅沢にも、本筋とは全く関係なく、作品の薬味として使うあたりは
まさにエンターテイメントの限りを尽くした映画といえるだろう。

彼の凄いところは、一見脈絡のないストーリーが複雑に交差しながらも
けして着地点を見失わないというところにある。
彼の脚本による作品は本当に安心してみていられる。
それぞれのキャラクターはもちろん
芝居の小道具にいたるまでけしてなおざりにしない。
大勢の役者たち、小道具たちが、中盤から絶妙なハーモニーを奏で
ラストに向かってうねりながら一つになり、心地よく完結する。

大晦日の夜、このホテルの客や従業員たちのそれぞれが
まるで自分のなくした夢や希望、見失った道や愛情を
手繰り寄せるようにしてホテルに集まる。
その登場人物のどれをとっても
脚本家に愛されて、育まれたキャラクターだという事が随所に感じられる。
彼らの住む家の間取りや、昨日の夕食のおかずまでが見えてくるようだ。
三谷氏の手にかかれば、彼らは、作られた人物とは思えないほど
活き活きと動き出す。

近ごろ、嫌な日本人の顔ばかりが紙面を賑わせている。
自分の人生や仕事に誇りのかけらも持てずに
暴かれた罪を弁明する者、ひたすら鉄面皮に表情を隠して謝る者。
実在する人間よりも、スクリーンの中の人物の方が
より人間らしく温かいとはなんとも皮肉な話しだ。

作品全体が、古き良きハリウッド映画を思わせるような
上質な音楽とウイットに富んだジョークに包まれながらも
大人のセンチメンタリズムを漂わせた秀作である。e0090389_18373159.jpg
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by henrri | 2006-02-11 18:20 | 映画・ドラマ