カテゴリ:バレエ( 2 )

くるみ割り人形のこと

マシューのことをもう一度書きたくて
ネットでいろいろ写真を探していました。
スワンレイクも衝撃的な作品でしたが
くるみ割り人形の衝撃はそれを超えるものでした。
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二幕の華やかなシーンの写真は、どこのサイトにも沢山ありますが
僕が探していたのは一幕の冒頭。これがなかなかない。
結局見つけられませんでしたが・・・。
モノクロの地味なシーンは人目を惹かないのかもしれません。

プティパのくるみ割り人形の一幕は
華やかなクリスマスパーティーの場面から始まります。
大きなツリーのそばに赤々と燃える暖炉
シルクと宝石で着飾った大人たちのまわりを
上質な晴れ着を着た子供達が駆け回っています。
この華やかな場面、マシュー版くるみ割り人形では
舞台全体が、冷たく殺風景な色で覆われています。
固く冷たいベッドが並び
子供達は灰色や黒の同じ形の粗末な服を着せられています。
マシュー版は、孤児院の一室から物語が始まるのです。
僕たちが見慣れているくるみ割り人形では
いつもきれいに着飾った子供達が笑っていました。
まるで、子供というものは、クリスマスには世界中どこでも
こんな風に着飾って笑うものなのだとでも言うように。
世の中に、プティパのようなくるみ割人形しかないのは
不公平だとずっと思っていた僕にとって
マシューのくるみ割り人形は、とてもセンセーショナルに思えました。
当時、ある一部の階級のものでしかなかった作品を
みんなのものにした・・・
というと僕がプロレタリアアートの信者みたいだけど
どう言えばいいのか・・・くるみ割り人形を自由にした人として
マシューボーンは鮮烈に僕の心に残る人になりました。
<今日のワイン>
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陽気に騒ぎたい時も、つかの間の静寂にも、
シャンパーニュはこれ、ドンペリニョン。
ああマシュー、これももっと自由にしてくれ。
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by henrri | 2005-10-25 09:09 | バレエ

スワンレイク

今日は、伝統に敬意を表しつつ
常に戦いを挑んでいるもう一人のアーティストについて ―――
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4・5年ほど前に見た、「リトルダンサー」
という映画の中のワンシーンがとても印象に残っていて
以来、マシューボーンというバレエの振り付け家の名前が
僕の記憶に刻まれる事になりました。
彼の手によるスワンレイクは、白鳥のコールドが全員男性という
常識を覆すような斬新な手法が用いられ
日本でも熱狂的なファンに支えられて、何度も来日公演を行っています。

現代において上演されているクラシックバレエの多くは
19世紀後半に、M・プティパによって振付けられたものですが
マシューボーンのスワンレイクを見てしまうと
やはり、チャイコフスキーは、このスワンレイクのために
作曲したのではないだろうか?と疑ってしまうほど美しいのです。
もちろん、鶴の人形焼き(白鳥よりさらに細い)
のようにそろえられたフォルムのダンサー達による
伝統的コールドバレエも美しいのですが
マシューの白鳥たちは、悲しむだけの白鳥ではなく
時に怒り、挑発し、戦う白鳥なんですね。
そして、チャイコフスキーの時代には、上流社会だけの娯楽だった
バレエという文化に、男性である白鳥と王子の恋や
ハムレットを思わせるような王子と母親
王室とそれを追いかけるパパラッチなどを配して
全く新しい、アイロニーに溢れた作品に仕上げています。
そんなところが、この「リトルダンサー」という
潰れかけた貧しい炭鉱の町に生まれ、偏見の目にさらされながらも
バレエダンサーを夢見る少年の物語に、ぴったりだったのかもしれません。

最も印象に残った場面は2幕の湖のシーン。
ダンサー達の、力強く流れるような美しい筋肉の躍動が
音楽と空間とを完全に一つに融合し
息苦しいほどに空気を濃密にしていきます。

<今日のワイン>
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久々のワイン会です。
ラ・グラン・リュ、クロ・ド・ヴージョ、シャトー・トロタノワ、
シャトー・フィジャック
グラン・リュは土、ヴージョは花、フィジャックは力強さ、
トロタロワは開くのに時間がかかったけど、開いてからはすごかった。
どれもが美味しく、堪能いたしました。
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by henrri | 2005-10-15 02:28 | バレエ