カヴァ マルガット ブリュット

<今日のワイン>
毎日のワインのなかで一番出番の多いのはこれ。
カヴァ マルガット ブリュット (ピノルド社)
スペインのスパークリングワイン。
香りを楽しみたくて、フルートグラスではなく、
少し大き目の口のグラスで飲んでみる。

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マイ・フェイバリット・グッズと共に
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# by henrri | 2005-11-12 21:59 | ワイン

チャイナドレスの女

チャイナドレスのマギーチャンがことのほか美しい。
立ち上がった、丈の高い襟に隠れたうなじの
柔らかく並んだひとつひとつの窪みが、透けて見えるようだ。
見る人が見たいと思う目線で映像が流れていく。
川のように澱んだり、渦巻いたりちょっと止まったり
行く末もわからずまた静かに流れたりしながら
大人の恋の断片を追った作品が、ウォンカーワイの「花様年華」
いわゆる不倫ものだけど、ラブシーンは全く出てこない。
タクシーの中で、触れるか触れないかぐらいの距離で
二人の指と指が交差する。
それだけで、タクシーの中の濃密な空気と
わずかに触れ合った指のひりひりした感触が伝わってくる。
彼らは肉の繋がりは無いのに、とても近所の目を気にしている。
彼らがこんなに罪悪感を感じているのは
気持ちの問題ではなくて
たぶん彼らが、何度も何度もいっしょに食事をしているからではないかな?
肉の旨みを知り尽くした二人が食事をするシーンはエロティックだ。
音を立てて咀嚼し、すすり、箸で弄びながら食べたりする。
唯一動物的な食事のシーン以外は
マギーチャンの美しい肢体を
チャイナドレスが覆うように包み隠しているけれど
映像は、不意に内臓のような生々しさを露呈する。
ある種チラリズムがこの映画の魅力?・・・だったりして・・・
そもそもチャイナドレスは、なだらかな曲線だけでなく
女性の骨格や肉付きを露にする
男にとっては最高の服飾文化なのだから。
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# by henrri | 2005-11-10 11:05 | 映画・ドラマ

ルロワ ルロワ

<今日のワイン>
ピュリニー モンラッシェ フォラティエール ドメーヌ・ドブネイ 1992 
シャンベルタン グランクリュ ドメーヌ・ルロワ 1992
感想も何も・・・
夢の中にいるようです。ごめんなさい
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# by henrri | 2005-11-09 23:41 | ワイン

くるみ割り人形のこと

マシューのことをもう一度書きたくて
ネットでいろいろ写真を探していました。
スワンレイクも衝撃的な作品でしたが
くるみ割り人形の衝撃はそれを超えるものでした。
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二幕の華やかなシーンの写真は、どこのサイトにも沢山ありますが
僕が探していたのは一幕の冒頭。これがなかなかない。
結局見つけられませんでしたが・・・。
モノクロの地味なシーンは人目を惹かないのかもしれません。

プティパのくるみ割り人形の一幕は
華やかなクリスマスパーティーの場面から始まります。
大きなツリーのそばに赤々と燃える暖炉
シルクと宝石で着飾った大人たちのまわりを
上質な晴れ着を着た子供達が駆け回っています。
この華やかな場面、マシュー版くるみ割り人形では
舞台全体が、冷たく殺風景な色で覆われています。
固く冷たいベッドが並び
子供達は灰色や黒の同じ形の粗末な服を着せられています。
マシュー版は、孤児院の一室から物語が始まるのです。
僕たちが見慣れているくるみ割り人形では
いつもきれいに着飾った子供達が笑っていました。
まるで、子供というものは、クリスマスには世界中どこでも
こんな風に着飾って笑うものなのだとでも言うように。
世の中に、プティパのようなくるみ割人形しかないのは
不公平だとずっと思っていた僕にとって
マシューのくるみ割り人形は、とてもセンセーショナルに思えました。
当時、ある一部の階級のものでしかなかった作品を
みんなのものにした・・・
というと僕がプロレタリアアートの信者みたいだけど
どう言えばいいのか・・・くるみ割り人形を自由にした人として
マシューボーンは鮮烈に僕の心に残る人になりました。
<今日のワイン>
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陽気に騒ぎたい時も、つかの間の静寂にも、
シャンパーニュはこれ、ドンペリニョン。
ああマシュー、これももっと自由にしてくれ。
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# by henrri | 2005-10-25 09:09 | バレエ

スワンレイク

今日は、伝統に敬意を表しつつ
常に戦いを挑んでいるもう一人のアーティストについて ―――
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4・5年ほど前に見た、「リトルダンサー」
という映画の中のワンシーンがとても印象に残っていて
以来、マシューボーンというバレエの振り付け家の名前が
僕の記憶に刻まれる事になりました。
彼の手によるスワンレイクは、白鳥のコールドが全員男性という
常識を覆すような斬新な手法が用いられ
日本でも熱狂的なファンに支えられて、何度も来日公演を行っています。

現代において上演されているクラシックバレエの多くは
19世紀後半に、M・プティパによって振付けられたものですが
マシューボーンのスワンレイクを見てしまうと
やはり、チャイコフスキーは、このスワンレイクのために
作曲したのではないだろうか?と疑ってしまうほど美しいのです。
もちろん、鶴の人形焼き(白鳥よりさらに細い)
のようにそろえられたフォルムのダンサー達による
伝統的コールドバレエも美しいのですが
マシューの白鳥たちは、悲しむだけの白鳥ではなく
時に怒り、挑発し、戦う白鳥なんですね。
そして、チャイコフスキーの時代には、上流社会だけの娯楽だった
バレエという文化に、男性である白鳥と王子の恋や
ハムレットを思わせるような王子と母親
王室とそれを追いかけるパパラッチなどを配して
全く新しい、アイロニーに溢れた作品に仕上げています。
そんなところが、この「リトルダンサー」という
潰れかけた貧しい炭鉱の町に生まれ、偏見の目にさらされながらも
バレエダンサーを夢見る少年の物語に、ぴったりだったのかもしれません。

最も印象に残った場面は2幕の湖のシーン。
ダンサー達の、力強く流れるような美しい筋肉の躍動が
音楽と空間とを完全に一つに融合し
息苦しいほどに空気を濃密にしていきます。

<今日のワイン>
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久々のワイン会です。
ラ・グラン・リュ、クロ・ド・ヴージョ、シャトー・トロタノワ、
シャトー・フィジャック
グラン・リュは土、ヴージョは花、フィジャックは力強さ、
トロタロワは開くのに時間がかかったけど、開いてからはすごかった。
どれもが美味しく、堪能いたしました。
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# by henrri | 2005-10-15 02:28 | バレエ

天保十二年のシェイクスピアをみた

モローと一緒に観たのが
井上ひさし作、蜷川幸雄演出「天保十二年のシェイクスピア」。
両氏共に、色んな演劇賞や勲章を何度ももらっている演劇界の重鎮です。
この人達の作品に触れて凄いなー、といつも思う事は
何度演劇賞をもらおうが、何個勲章をもらおうが
常に戦う姿勢を忘れていないこと。
それに執拗に拘泥しているところが、頑固なオヤジだなー
と、男としてちょっと憧れてしまいます。

そして、全37のシェイクスピア作品を
時に巧みに、時にこじつけがましく繋ぎ合わせて
壮大なエンターテイメントに仕上げたこの作品。
劇中、誰しもが聞き覚えのある有名なせりふや場面が出てきます。
両氏によって紡ぎだされたシェイクスピアは
爆発的なエネルギーをもって、鮮やかに観客の前に立ち上がる。
こういう活きのいい作品を目する度に
作者(シェイクスピア)がやりたかったことって
本当はこれだったんじゃないか?
という確信に近い思いが湧きあがってきます。
シェイクスピアのような、歴史的名作が生まれた時代背景
(宗教とか政治とか)を思えば
オブラートに包みながらの創作活動だったのかもしれません。
そういうくびきを取り払って、作品に自由を与えてやるとこうなるのかな・・・

最も印象的な場面。
冒頭、抱え百姓達がグローブ座のセットをぶち壊し
ステージを占拠してしまいます。
日に焼けた貧しい身なりの百姓達が、力強い歌声に合わせ
シェイクスピアの殿堂たるグローブ座の柱を切り出してしまう。
怒涛のラストに向かい、この芝居の本当の主役は誰だったのかを知った時
最も鮮やかに甦るシーンでした。
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<今日のワイン>
クロス・デ・トリーバス・クリアンサ
スペインの品種テンプラニージョで造られるピノルド社の赤ワインは、
コクがあってとても上品な香り。
コストパフォーマンスは最高だよ。
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# by henrri | 2005-10-11 15:41 | 演劇

ギュスターヴ・モローをみた

上野で見て以来、3年ぶりのモローです。
サロメの出現や、ギリシャ神話の中のセイレンは今回が2度目。
前回、とても惹かれるものがあったので
160点あまりの展示は十分に満足できるものでした・・・が
展示期間中、前期と後期で展示内容が変わるんだとか
んー・・・前期も見ておくんだった。

ギリシャ神話は、多くの画家によって描かれてきました。
モローもまた、ギリシャ神話を好んで描いています。
彼の描く作品は、この上なく幻想的でため息がでるほど美しいのですが
数ある作品の中には
神様たちの滑稽な日常が見え隠れするものもあったりして
(もちろんオイディプスのような悲劇的な作品もありましたが)
なかなか楽しいひと時を過ごしました。

中でも笑えるのが全智全能の神ユピテル(ゼウス)。
こいつがもうどうしようもない女ったらしで
綺麗な女と見ればヤルことしか頭にない。
何が何でもヤル!誰がなんといおうとヤル!というとんでもない神様。
まぁ、全智全能の神様中の神様だから、何でもありってことでしょうね。
このユピテル、やってることは極悪なんですが
どうも女(時に男)をモノにするやり方が、稚拙というかひどく可愛らしい。
白鳥になってこっそり意中の人に近づき、事を成就させたり
女の好みそうな、美しい白い牡牛に化けて油断させ
好機とみるや強引に連れ去ったり
あろうことか、美しいいたいけな少年まで
鷲に姿を変えて連れ去ってしまう。
やりたい放題の悪代官より始末が悪い。
その結果、あちこちに神の申し子を遣わすことになるのです。

ギリシャ神話は、ご存知のようにキリスト以前に生まれたものです。
そのため、キリスト後の倫理観とは全くかけ離れていて
シェイクスピアのような教訓めいたところはほとんどありません。
不倫あり、同性愛あり、インセストありのとんでもない世界ですが
ユピテルのような荒唐無稽とも思える手練手管(といえるのか・・・?)が
古今東西の芸術家の絵心を刺激したのでしょう。

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次回はキリスト後のシェイクスピアを。

そして、今日のワイン
シャトー・トゥール・デュ・ペシュ
このシャトーの家系は、「星の王子様」で有名なサン・テクジュペリ家の直系だという。
プルーンなどの黒っぽい果実の香りが、
時間とともに立ち上がってくる。
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# by henrri | 2005-10-07 00:19 | アート

隠し剣鬼の爪をみた。

友人のれいちゃんお奨めの藤沢周平作品です。
いつものように、ランニングマシーンに乗っかりながら鑑賞。
序盤、軽快に飛ばしながらも
松たか子の美しさにはからずもペースが落ちる。

物語の舞台、海坂藩(うなさかはん)といえば
藤沢周平の生まれ故郷のほど近く
庄内平野に位置する城下町鶴岡。時は文久元年。
海坂藩のような東北の小さな藩にも
幕末のうねりは少なからず押し寄せていたようです。

海坂藩の下級武士、片桐宗蔵(永瀬正敏)は
母と妹、下女のきえ(松たか子)と共に
貧しいながらも平和な毎日を送っていました。
が、時は過ぎ、妹もきえも嫁に行き、母親は亡くなって
片桐家は櫛の歯が抜けたようにわびしい男所帯となってしまいます。

とある冬の日。
城下の小間物屋の店先で、宗蔵ときえは思いがけず再会するのですが
きえの、白いうなじにほつれかかるおくれ毛のせいでしょうか
ランニングのペースはここからグッと落ちてしまいます。
一見して、嫁ぎ先での幸薄い境遇が、ありありと影を落とすきえの背中に
思わず引き込まれてしまいました。
もちろん引き込まれたのは僕だけじゃなくて、宗蔵もしかり。
一瞬、かけてやる言葉が見つからない宗蔵は
半襟を買ってやると言うんですね。
んー・・・半襟を買ってやる・・・これは意外だった!
なにかとても即物的な行為のように思うけれど
永瀬演じる宗蔵が言うと、実に誠実に響くから不思議です。
二人の間で何気ない言葉が交わされ、きえの目から涙が溢れ出す。
しんしんと降り積もる雪は
無言のまま、虐げられた者の悲しみを覆い尽くす。

ここからはもう、ランニングとかいってる場合じゃないです。
ちょっと本腰をいれて鑑賞しちゃいました。

幕末といえば、新選組、坂本竜馬、西郷隆盛などなど
明日の日本を語り、策を労し
人を斬り倒してきた名だたるヒーローたちが群雄割拠した時代。
そんな中にあって、一人の女を守ることに命をかけた宗蔵が
かっこ悪いのかといえばけしてそうじゃない。
かつての宗蔵の同門、尊皇攘夷に翻弄され
謀反を起こした狭間弥一郎と宗蔵が
終盤、斬りあいになる場面があるのですが
この宗蔵がめちゃめちゃかっこいい。
宗蔵の、寓直なまでにひたむきな誠実さは、幕末の喧騒を
何か虚しいものにしてしまうほど重いのです。

というわけで、「隠し剣鬼の爪」
途中からランニングマシーンのスイッチを切り
僕が前のめりに正座してみることになった、なかなかの秀作でした。

んで、なにが隠し剣かというと、蜂の一刺し・・・かな?

そして今日のワイン。
トランブスティ社のキャンティ バッディオロ リゼルバ 
クローヴなどのスパイスとダークチェリーが口中に広がりました。
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# by henrri | 2005-10-04 23:30 | 映画・ドラマ